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分割出願内容に対する審査及び明細書作成への啓示(一)
Thu May 12 18:07:00 CST 2016 発表者:华诚小編 ファイルをダウンロードしてないPDF

分割出願内容に対する審査及び明細書作成への啓示(一)

筆者/

 分割出願の審査において、審査意見通知書に記載される拒絶理由は往々にして分割出願の特許請求の範囲が原明細書及び特許請求の範囲を超えたことに繋がっている。従って、中国の特許審査における分割出願審査及び修正の範囲超過に関する原則及び規定を理解する必要がある。

1.  現在の審査実務における分割出願内容の範囲超過に対する審査原則

 総原則として、特許法実施細則第43条では、分割出願内容に対して原出願に記載された範囲を超過してはならないと要求している。特許審査ガイドライン第二部分第六章では、細則第43条における「公開の範囲」について更に解釈を加えている。即ち、特許法第33条における「記載された範囲」と理解すべきである。従って、分割出願内容は範囲超過であるかどうかに対する審査は、特許法第33条における修正が範囲を超過した場合の審査原則に準じて行われるべきである。即ち、分割出願の「新しい構成要件」を原出願書類(明細書及び特許請求の範囲)に対する修正と見なし、当該修正内容は原明細書及び特許請求の範囲を超過したかどうかについて審査を行う。

 

 内容を変更してはならない修正について、特許審査ガイドライン第二部分第八章には下記の幾つかの場合が列挙されている。

(1)  特許請求の範囲における技術的特徴を変更し、原特許請求の範囲及び明細書に記載された範囲を超過した場合。

(2)  明確でなかった内容を明確かつ具体的な内容にするために、原出願書類にない新しい内容を追加した場合。

(3)原出願における独立した幾つかの特徴を新しい組合せに変更する際、原出願でこれらの独立した特徴間の関連について明確に言及していなかった場合。

(4)明細書における幾らかの特徴を変更する際、変更後に示される技術内容が原出願に記載された内容と異なり、原明細書及び特許請求の範囲に記載された範囲を超過した場合。

2.  事例分析

 原出願はある化学製品Wの製造方法に関わり、主に従来技術として公開された基本的な製造過程/手順を3つ含んでいる。溶解手順A、還元手順B、結晶手順C(以下、「ABC」という記号で表示し、いずれも上位概念を示すものとする)。原出願は手順Bに含まれる特定のパラメーターの具体的な特徴であるXを発明のポイントとし、請求項の形式で保護を求め、原特許請求の範囲における技術案をA+B+C+Xとし、その中でA+B+Cをプリアンブル部分とし、Xを特徴部分とした。審査を経て、特許局審査部門は原出願に対して権利付与通知書を発行した。

 

 その後、出願人は原出願に基づいて分割出願をした。当該分割出願の特許請求の範囲における技術案は、明細書で手順Cについて更に説明した時に言及した具体的な特徴Yを発明のポイントとした。すると分割出願の特許請求の範囲における技術案はA+B+C+Yとなり、その中でA+B+Cをプリアンブル部分、Yを特徴部分とした。審査を経て、特許局は分割出願の特許請求の範囲における技術案が原出願の特許請求の範囲を超過し、特許法実施細則第43条の規定に適合しないということを理由とし、当該分割出願を拒絶した。

 まず、審査員は特許請求の範囲における技術案を一つのまとまった方案として審査対象とした。即ち、当該技術案の中のある技術特徴が明細書に記載されているかどうかを審査するばかりでなく、当該技術案全体が原明細書及び特許請求の範囲に記載されているかどうかを審査した。原明細書の閲読を経て、当該分割出願の請求項1の技術案(即ちA+B+C+Y)は原明細書又は特許請求の範囲において独立しておらず、且つ連続的に記載されていない(それに対して、原出願の保護を要求するA+B+C+Xの技術案は原特許請求の範囲に記載されている)ことが確認できた。

 

 次に、区別的技術特徴Yは原明細書において優れた実施方式を具体的に記述した際に言及された技術特徴であり、それ自体は完全な技術案を構成していない。具体的に言えば、当該の優れた実施方式においては、手順Cに関わる具体的な特徴Yについて記述しているばかりでなく、手順A及び手順Bに関わるその他の具体的な技術的特徴(即ち、ABの下位概念、例えば、特徴Xなど)についても記述しており、これらの具体的な技術特徴は全て分割不可能なまとまったものとされている。言い換えれば、それらは当該実施方式に記載される範囲を共同で構成している。この実施方式は正に特許請求の範囲の修正(分割出願の特許請求の範囲)の根拠であり、即ち、審査員が認定した「原明細書に記載される範囲」である。しかし、分割出願の特許請求の範囲における技術案で手順Cに記載される具体的な特徴Yを選定したのと同時に、当該の優れた実施方式における手順Aと手順Bに関わる具体的な特徴(例えば、特徴X)を削除してしまった。このような技術案は原明細書又は特許請求の範囲から明確に獲得できないものである。

 したがって、審査員は以上の理由をもって、分割出願の特許請求の範囲に限定される技術案は原明細書及び特許請求の範囲に記載されておらず、且つ限定される範囲も修正の根拠となる原明細書に記述された具体的な実施方式に限定された範囲を超過したため、特許法実施細則第43.1条の規定に適合しないと認定した。


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