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「一出願多区分制」の商標登録出願に関する誤解と真実
Fri Aug 21 17:31:00 CST 2015 発表者:华诚小編

「一出願多区分制」の商標登録出願に関する誤解と真実


陳晨子



 「一出願多区分制」の商標登録出願制度の導入は、20145月の商標法第3回改正の目玉の1つである。

 

「一出願多区分制」は世界の主要国、及び、標章の国際登録に関するマドリッド協定国において一般的に採用されている出願方法である。中国が一出願多区分制を導入したことは、国際的な方式に連動すると共に、関係する企業が将来の製造や事業の開拓を支援することに意味があると考えられる。その筋の宣伝によれば、行政管理の視点からは、「一出願多区分制」のメリットは以下の通りとである:登録番号資源の節約、審査業務負担の削減、検索・分析・分類の利便性、統一的な検索標準の向上に有利、行政管理業務の簡素化。

 

しかし、行政管理に有利なことと出願人に有利なこととは2つの異なる概念である。これまで、多くの出願人は真実を究明せず、躊躇せずに出願してきたが、今後は予想もしなかった面倒なことに直面する可能性が予想される。

 

「一出願多区分制」が本当に出願者に有利であるかどうかを見極める前に、まず以下の4点についての真実を究明する必要があろう。

1)出願費用を節約できるかどうか

2)審査期間を短縮できるかどうか

3)登録出願手続きを簡素化できるかどうか

4)管理は便利になるかどうか。

 

真実の1、費用を節約できない

国際的に一出願多区分制度を採用する国での一般的な実務では、「最初の出願区分は標準料金を徴収し、追加区分は料金を割り引く」優遇制度を適用し、出願人に一出願多区分で登録方式の利用を奨励している。しかし、中国の現行料金標準によると、一出願多区分出願に対して、出願の件数により手数料を徴収するのではなく、区分により徴収することになっており、即ち、1区分ごとに800人民元の出願手数料、1個の指定商品の増加ごとに80人民元の追加手数料が増加する。そのため、出願手数料を節約することはできないのである。

 

真実の2、審査期間は必ず延長され、短縮される可能性がない。

仮に一出願3区分の出願をした場合、そのうちの何れかの区分に補正、異議などが発生すれば、当該補正、異議手続きが完了するまで、その他の2区分は続き審査を受けられないのである。

「一出願一区分」の出願方法に比べて、「一出願多区分」の審査期間は短縮するどころか、却って長期化することになる。たとえ、出願過程に補正や異議などが発生しないとしても、商標法は「一出願多区分」と「一出願一区分」の出願の審査期間に相違する規定を定めていないのである。

 

真実の3、審査手続きは複雑になるのみ、簡素化されない。

前述の通り、「一出願多区分」の出願過程において補正や異議などが発生した場合、審査期間や手続きは延長されざるを得ない。一部が拒絶された場合は、分割出願、及び登録拒絶査定の復審申立などの措置を講じることになる。「一出願一区分」に比べ、明らかに審査手続きが更に複雑になる可能性がある。

 

真実の4、商標の管理は更に不便になる可能性がある。

「一出願多区分制」の出願により登録された商標は、区分により数件に分けて登録することはできない。そのため、譲渡又は使用許諾などの手続きを行った場合、まとめて譲渡又は許諾の手続きを行わなければならず、実際のニーズに応じて選択することができないのである。また、今後一部の区分のみ存続期間の更新申請をすることができるかどうかについて、商標局は未だ明確な規定を出しておらず、依然として不確定のままである。

 

まとめ

「一出願多区分制」について詳しくない上に、主要なメディアによる宣伝の影響を受けて、出願人は「一出願多区分制」で出願をしている。混迷を払いのけてはじめて、真実が見極められる。前述のように、「一出願多区分」の商標登録出願には複数の不利な影響が与えられることがと見込まれる。そのため、「一出願多区分」の商標登録出願方法に対して、その裏にある事実や真実を究明すると共に、慎重に対応されることをお勧めする。


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