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「六大流派」事件から原作品の著作権を尊重する必要性シリーズ2:『反不正当競争法』の信義誠実の原則の活用を再検討
2016-02-02 発表者:华诚小編

「六大流派」事件から原作品の著作権を尊重する必要性 

シリーズ2『反不正当競争法』の信義誠実の原則の活用を再検討

 

概要:双方を慎重に考慮するために、実務上は、ある意味で信義誠実の原則の適用には全体的に比較的厳格な態度を取っている。そうだからと言って、信義誠実の原則による救済の扉を市場の事業者に徹底的に閉じたわけではない。「六大流派」事件は反不正当競争法の「信義誠実の原則」を適用した典型的な事件である。

 

 前編では、「六大流派」のモバイル端末用ゲームが金庸氏の作品の登場人物名、登場人物の関係、話の筋等の素材を無断で使用し、翻案してゲームを作成した行為は、著作権侵害にあたると認定されたことを報告している。著作権という主役に加え、本件の反不正当競争法第2条の適用も輝く脇役と言え、ここで論評するに値する。

 

事件情況

 反不正当競争法第2条(特に第一段)は言うと、「原則性」、「透明性」、「信義誠実」等のキーワードが次々と頭に浮ぶ。この絶対的条項に対して、多くの場合人々は畏敬の念で理解する。まずは「六大流派」事件で、裁判所がこの条項をどのように適用したのかを見てみよう。

 裁判所は次ように認定した。「六大流派」は全体的に見れば、金庸氏の『笑傲江湖』、『射鵰英雄伝』、『神鵰侠侶』、『倚天屠龍記』の作品を混ぜ合わせて、経典的要素・話の筋・登場人物をゲームに使用している。同時に、対外的な宣伝で、「自堕落で放蕩だが情に深い令狐兄、或いは、時に正義時には邪悪だが一曲で人の魂を揺さぶる黄医師、或いは気性が激しく悪辣で破廉恥な滅絶老尼、或いは手段を選ばない少しアホな金輪ラマ、これらの名が世間に響き渡る英雄豪傑を、「六大流派」で、プレーヤーは好みに応じて選び挑戦することができる」としたのである。このような宣伝は、ゲームの内容と結びついて金庸氏小説の愛好者が「六大流派」ゲームのプレーヤーになるように誘引し、市場を不法に占拠し、原告に属するプレーヤーを奪い、原告が開発・運営している関連のゲームに不利の影響を与えるとともに、市場経済の正常な秩序を乱し、不正競争を構成する。

 前述の判決を読むと、まったく理にかなっており、十分な根拠があると誰でも思うだろう。しかし、反不正当競争法第2条をよく理解している皆さんはご存知の通り、最終的にこの法律条項を判決文に書くために乗り超えなければならない障害は、必ずしも文字変換のように簡単なことではないのである。

 

規定内容

「事業者は市場における取引の過程で、自由意思、平等、公正、信義誠実の原則に従い、広く認められている商業道徳を遵守しなければならない。」——反不正当競争法第2条第一段

  この規定はこれまで終始ジレンマに直面してきている。 一方では実務上の切迫した需要があり、別の一方では原則的規定の控えめな適用がある。

かつて、フリードリヒ・カール・フォン・サヴィニー(Friedrich Carl von Savigny)は、「いずれかの法律が成立したとたん、時代遅れとなった」と言った。立法時に全ての現状を予見して、事前に法律条項を規定しておくことができない問題は、法律の生れながらの停滞性と総称されている。無論、反不正当競争法もご多分に漏れない。同法第二章には一連の具体的な禁止行為が列挙されているにもかかわらず、実務上の不正競争行為は往々にしてこれらに留まらない。最高人民法院が司法解釈で指摘した通り、「市場競争の開放と激化により、必然的に市場競争行為の多様性と可変性がもたらされる。反不正当競争法は、市場での競争秩序を統制する法律として、あらゆる行為に対して具体的で予見的な規定を定めておくことができるわけはない。そのため、具体的事件において、人民法院は反不正当競争法第2条第1段と第2段の一般条項に基づき、反不正当競争法第2章に列挙されていない市場競争行為に対して調整を行うことで、市場での公正な競争を確保することができる」。市場の事業者は侵害行為に対して、反不正当競争法第2章の規定を直接引用することができない場合、第2条の原則的規定に対するニーズが切実なものとなる。

  とはいえ、原則的規定を適用すると言うならば、どのように適用することができるだろうか。抽象的規定は、一般的な指導となるに過ぎないのである。どのように適用するかは、司法の自由裁量次第である。信義誠実の原則は、づた袋のようなものであり、袋の口を大きくし過ぎると、何にでも適用できようにすると、市場の秩序に関与し過すぎることは明らかである。一方、袋の口を小さくし過ぎると、その役割が発揮できなくなってしまうのである。従って、司法政策は、「原則的規定の柔軟性及び適応性を十分に活用し、絶えず方法を変え、次々と様々な新しい手段が現われてきている不正競争行為を効果的に差止めると共に、原則的規定の適用の随意性を防止し、市場の自由・公正な競争を阻害することを防止する」との要請を明確にしている。

 慎重な検討があり、実務上、信義誠実の原則の適用は全体的に比較的厳格な態度が取られている。いずれにしても、信義誠実の原則は市場の事業者に対して救済の扉を徹底的に閉じているわけではない。華誠が代理した「六大流派」事件は、その最近の新しい判決の一つである。

 

適用

 最高人民法院は、山東省食品輸入公司等三社と馬達慶等間との不正競争紛争事件において、反不正当競争法の「信義誠実の原則」を如何に適用するかについて、主に三つの要件を満たさなければならないと解釈している。

、法律は当該競争行為について明確な規定を定めていない。

、他方の事業者の合法的権益が明らに当該競争行為により現実的損害を被っている。

、当該競争行為が明らかに信義誠実の原則及び広く認められている商業道徳に違反し、不当性又は処罰可能性がある。

 「六大流派」事件を見ると、係争ゲームの運営側は金庸氏の小説の登場人物名、登場人物の関係、話の筋等でゲームをまとめているばかりではなく、ゲームの内容は金庸氏の小説と密接な関連があると宣伝している。まず、反不正当競争法は虚偽宣伝の不正競争行為が禁止しているものの、「六大流派」は明らかに、許可を得ないにもかかわらず、ゲームに金庸氏の小説の代表的な素材を使用していることから、当該宣伝行為は「虚偽」という要件に明らかに適合せず、本件の原告は反不正当競争法に定められる具体的な不正競争行為を直接引用して前記の宣伝行為を差し止めることができないため、上記の要件1を満たしている。次に、結果を考えると、被告は原告と同じゲーム業界の事業者であり、「六大流派」の宣伝行為は本来原告に属するプレーヤーを誘引することにより、原告の市場シェアを奪い、原告の正常な事業活動に損害を与えたため、要件2を満たしている。さらに、「六大流派」はそのゲームに金庸氏の小説の独創的表現を無断で使用し、著作権侵害を構成するだけでなく、宣伝でも金庸氏の小説の表紙、関連の映画・テレビ作品のスチール写真も大量に使用しており、当該行為は基本的な商業道徳に違反し、法的処罰を受けるべきであり、要件3を満たしている。

 

以上の論評をまとめると、「六大流派」事件は、反不正当競争法の「信義誠実の原則」の適用として、一つの典型的な判例と言える。本件は信義誠実の原則の適用の三要件を活用したばかりではなく、今後当該条項を活用する上で良い参考になるものと考える。


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