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分割出願内容に対する審査及び明細書作成への啓示(二)
Tue May 24 09:15:00 CST 2016 発表者:华诚小編

分割出願内容に対する審査及び明細書作成への啓示(二)

筆者/湯国華

 

 前編では、現在の審査実務における分割出願の内容の範囲超過に対する審査原則を紹介し、実例を引用して解説した。本編では、分割出願の範囲超過の具体的な状況及び最初の明細書作成への啓示を説明します。

3.  分割出願に対する審査の現状

 現在、分割出願の内容が原出願の範囲を超過したかどうかに対する中国特許局の審査は、特許法第33条における修正が範囲を超過した場合の審査原則に準じて行われている。

下記の2つの場合は通常原公開範囲を超過したと認定される。

1明細書に記載される内容は往々にして非常に具体的なものであり、一旦これらの具体的な内容を概括して(又は一部の技術的内容を捨てて)新しい技術案(分割出願の請求項)を形成したら、概括された内容が原明細書において独立しておらず且つ完全には原明細書に記載されていない状況である限り、当該技術案は往々にして原出願の記載の範囲を超過したこととなり拒絶されることになる。

2たとえ分割出願のある技術的特徴が原明細書に完全に記載されていても、当該分割出願の特許請求の範囲の技術案として、一つのまとまった方案として原明細書に完全に記載されておらず、原明細書に記載されたある具体的な実施方式の中の一部に過ぎない(尚且つ、当該具体的な実施方式にまた他の技術的特徴が含まれる)ため、当該技術的特徴により形成された技術案も原明細書の記載内容を超過したと認定され、拒絶されることになる。

 従って、実務では、分割出願の特許請求の範囲が原出願で削除された請求項が保護を求めていた技術案でなく(即ち、請求項の形式で原出願に記載されたことはなかった)、原出願の明細書において完全には記載されたことがない技術案であった場合には、このような分割出願が認められるのは難しい。

 説明しなければならないのは、「明細書に支持されるかどうか」と「原範囲を超過したどうか」は2つの異なる概念である。明細書の具体的な技術内容を概括する場合、この概括は明細書に支持される可能性があるが、概括の範囲が明細書における具体的な内容の範囲より広いことにより、原明細書の記載の範囲を超過したことになる。出願書類の修正の要件は、「明細書に支持される」でなく、「原範囲を超過してはならない」である。

4.  分割出願の対応策

 出願書類(明細書と特許請求の範囲を含む)の修正、及び原出願に基づく分割出願の内容はいずれも原出願の明細書と特許請求の範囲を根拠としなければならない。分割出願において提出される新しい請求項については、原明細書又は特許請求の範囲に完全に記載されているかどうかが、往々にして範囲を超過しているかどうかに関する審査の鍵となる。

 上記の事例において、出願人が明細書におけるある特定の技術特徴に対して分割出願して、且つ分割出願の内容が原明細書又は特許請求の範囲を超過していないという要件を満たしたい場合、当該特定の技術特徴に関する技術案を一つのまとまったものとして提出しなければならない。即ち、明細書で記載される具体的な実施方式の内容を一つの完全な技術案(請求項)として提出するということである。然しながら、言うまでもなく、このような請求項の保護範囲は非常に小さく、その保護もほぼ意味を失ってしまった。

 上述のような状況を避けるため、最初の出願の明細書作成時には、以下の2点に注意する必要があると筆者は考える。

1複数の技術特徴を含む技術案について言えば、そのうちの幾つかの特徴が技術案を実現する上で必須なものではない場合、出来る限りこれらの技術特徴の異なる組合せ方を考慮しなければならない。これらの組合せ方から構成される技術案は異なる範囲の限定に繋がる。また、出来る限りこれらの組合せ方を請求項の形式で特許請求の範囲又は明細書に記載した方が良い。

2)複数の技術特徴を含む技術案について言えば、これらの技術特徴が共同で完全な技術案を構成した(即ち、技術案を実現するために必須なものである)場合、次のような独立した技術案(又は実施方式)を考慮しなければならない。そのうちの一つの特徴を重点として(区別的特徴として)具体的に記述し、その他の特徴を(現時点の技術レベルをもって)概括的に記述する。このように形成された複数の技術案は異なる範囲を限定する。また、出来る限りこれらの複数の技術案を請求項の形式で特許請求の範囲又は明細書の中に記載したほうが良い。

5.  まとめ

 特許法では、一件の特許出願に二つ以上の発明が含まれるが、最初の出願時にそのうちの一つの発明のみに対して保護を求めた場合については、分割出願という救済措置を定めているとは言え、もしもう一つの発明が特許請求の範囲の形式で概括されていなければ、その後に分割出願をする際に、保護範囲が小さ過ぎる又は修正が範囲を超過したという難局に直面することになる。よって、最初の出願書類(明細書、特許請求の範囲)を作成する際には、分割出願可能なその他の発明は概括的な形式(即ち、請求項の形式)で記載しなければならない。


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